もしあなたがマンションを1棟まるごと売却するつもりなら、以下のような考えを一度は持ったことがありませんか?
・うまく1棟まるごと売却するためのコツはあるのか
マンション売却においては、部屋ごとの売却と1棟まるごとの売却では全くの別物といっていいでしょう。
通常のマンション売却は一般消費者をターゲットとするのに対して、1棟まるごとの売却ではターゲットはいわゆる「投資家」です。
売却するターゲットが変われば、売却手法も変えなければなりません。
1棟売却だからこその「コツ」や「ポイント」を知る必要があるのです。
そこで今回の記事では、マンションをまるごと1棟売却する際に絶対に知っておくべき必須知識について解説していきます。
この記事を読むことによって、マンション1棟売りを成功させるための必要知識はすべて網羅でき、たとえ1棟まるごとだとしても、スムーズにマンション売却することができるようになるでしょう。
マンション売却における部屋ごとの売却と1棟まるごとの売却の違い
通常、マンション売却といえば区分ごと売却(部屋ごとの売却)になります。
マンションを1棟(全部屋)まるごと売却することは、不動産市場的にも非常に稀です。
もし1棟まるごと売却するのであれば、通常の売却と同じつもりでいても絶対に成功しません。
1棟売却だからこその「コツ」や「ポイント」を知る必要があるのです。
そこでまずは、マンションの1棟売却ならではの特徴について紹介していきます。
マンションの1棟売却を成功させたいなら、必ず目を通しておいてください。
ターゲットは一般消費者ではなく投資家
通常のマンション売却は「新しい部屋を探している」「新居に引っ越ししたい」という一般消費者をターゲットとします。
しかし1棟まるごとの売却になるとターゲットはガラリと変わり、いわゆる「投資家」だけが対象となるでしょう。
「まるまるマンションを買い取って家賃収入が得たい」という目的の人が売却の対象となります。
新たなマンションのオーナーを探すという意味合いが強くなるのです。
そのせいか、不動産市場では1棟まるごと売却しているマンションのことを「オーナーチェンジ物件」と呼ばれます。
売却するべきターゲットが変われば、売却手法もガラリと変わるため、いつも通りの売却活動をしていても絶対に売却できません。
売却金額が1億円以上の高額になる
部屋ごとのマンション売却は、都市部になったとしても売却金額はせいぜい5000万円未満です。
しかし1棟売却になると、1億円以上の金額が普通となり、取引金額はとんでもない金額へと跳ね上がります。
一部屋1000万円の部屋が10戸あれば、1億円は軽く超えますので、当たり前といえば当たり前かもしれませんね。
通常のマンション売却は部屋のみの計算になりますが、1棟売却はエントランスや立体駐車場の金額も含まれます。
地域や状態によっては1億円どころか10億円以上の取引になることもあります。
1億円以上のお金をいとも簡単に動かす人達が相手になるので、それ相応のマナーや対応が必要になってきます。
査定の方法が全然違う
部屋ごとに売却するマンション売買の場合、査定には過去の取引事例を利用します。
依頼者がもつマンション内で他の部屋はいくらで売却できたのか、または似た条件のマンションではどうなのかと比較しながら金額を決定するのです。
一方、一棟まるごとの売却になると取引事例自体が極端に少ないため、査定の付け方がまるで変わります。
不動産鑑定士による資産価値で算出したり、家賃収入額がから計算したり、建築に使った費用から減価償却したりと様々な方法で算出することになるでしょう。
部屋別に売却する場合は自分の計算である程度の売却額を算出することもできますが、マンションの1棟売却の場合は自分の力だけで計算するのはほぼ不可能です。
専門の不動産業者しか対応できない
世の中に不動産業者は星の数ほどありますが、そのうちの9割が一棟まるごとのマンション売却には対応していません。
先述したように、1棟売却は部屋ごとの売却に比べて違う点が多すぎるため、専門的な知識な要求されます。
マニュアルだけではカバーしきれない経験がものをいう取引なので、新規参入しにくい現場なのです。
また取引金額が高額になることから、もしミスをしてトラブルを起こした場合、とんでもない金額の損害賠償が発生します。
会社としての規模が大きく体力もなければ、一発でつぶされるほどの損害になることでしょう。
小さい規模の会社では、取り扱うことすら避けられるのがマンションの1棟売却なのです。
1棟まるごとマンション売却する際のコツ
ここまで「マンションを丸ごと1棟売却することは、通常の売却と様々な点がちがう」ことをお伝えしてきました。
実際に売却するのであれば、「通常との違い」だけでは足りません。
1棟売買特有の「売却のコツ」も押さえておくことが必要不可欠です。
コツを知らなければ、スムーズに売却することはできないでしょう。
そこでここからは、実際にマンションを1棟売却する際に「ここさえおさえておけばOK」という「売却のコツ」について解説していきます。
不動産一括査定サイトで売りたい物件の相場を知る
あなたは今売りたいと考えている一棟マンションの相場を把握していますか?
売りたい物件の相場も知らないまま、一棟マンションを売却する場合、自分にとって不都合な契約になる可能性が高いです。
では、どのようにして相場を知ればよいでしょうか?
そこでおすすめなのが、不動産一括査定サイトです。
不動産一括査定サイトを使うことによって、1回の申し込みで複数の業者に査定金額を出してもらえます。
また、査定依頼の段階では費用も発生せず、売りに出されることはありません。そのため、一括査定依頼サイトを利用し、誠実な対応してくれる業者を見つけるとよいでしょう。
ただし、多くの不動産一括査定サイトは、マンションの1棟売却査定には対応していません。
しかし中には対応している稀有なサイトがあるのです。
オススメの一括査定としては「HOME‘S」「リガイド」が挙げられます。
HOMESやリガイドでは、マンションの1棟売却に特化した不動産業者と提携しているため、利用するだけで効率よく良質な業者と出会うことができるはずです。
最適なタイミングを見極める
1棟マンションだけでなく不動産売却全般に当てはまることですが、売却タイミングの見極めは非常に重要です。
したがってまず、この章では1棟マンションを高額で売却するためにはどんなタイミングで売りに出せばいいのかを解説していきます。
1棟マンションを高額で売却しやすい時期を見極めるには以下の2点がポイントとなります。
1棟マンションのベストな売り時
- 築年数が20年を超えるよりも前
- 減価償却期間満了後
築年数が20年を超えるよりも前
不動産売却においては、不動産の価値が低下する前に売却するというのがセオリーとなっています。
不動産は基本的に築年数が浅いほうが価値が高いです。
したがって、高額売却のためには、なるべく早く売却を完了するのが望ましいです。
特に、1棟マンションでは毎年の価格の減少幅が大きく、築20年を境に減少ペースが落ちるといわれているため、築20年以内のマンションの売却を検討している人は注意が必要です。
一方で、築20年を超える物件の売却を検討している人は、不動産の価値が急激に下がるということはないので、売却を急ぐ必要はないといえます。
減価償却期間満了後
減価償却期間は以下の通りです。
種類 | 耐用年数 |
---|---|
鉄骨鉄筋・鉄筋コンクリート造 | 47年 |
レンガ造、石造・ブロック造 | 38年 |
鉄骨造 | 34年 |
軽量鉄骨造 | 23年 |
木造・木骨モルタル造 | 21年 |
簡易建物 | 10年 |
マンションは償却資産であるため、経年による価値の低下を、減価償却費として経費で落とすことができます。
したがって、減価償却期間が満了になるよりも前に物件を売却してしまうと余計に税金を納めなければならなくなるかもしれません。
よって売却をする際は減価償却期間が満了するまで待つという手もありそうです。
部屋をなるべく満室にしておく
マンション1棟売却の購入対象者となるのは「投資家」です。
彼らが最も気にしている点が「空室率」。あなたのマンションは、今どれくらいの空室がありますか?
空室率が20%を上回っているような状況であれば、どんなにいいマンションだろうと見向きもされない可能性があります。
一刻も早く空室率を10%以下までに下げて、「投資価値があるマンションだ」と思わせないといけません。
入居者を付けるためには、フリーレントなどの精度をを利用して、今よりも安い家賃にするのが最もカンタンな方法です。
だからと言って安易に家賃を下げてしまえば、利回りが変わってしまいます。
したがって慎重な家賃調整が求められることに注意しましょう。
一方で、値下げ以外で入居者を増やすという選択肢もあります。
実は値下げしなくてもカンタンに入居者を増やす方法があるのです。
それは、入居を募集している不動産会社への報酬を上げること。
通常は仲介手数料しか渡していないでしょうが、AD(広告手数料)としてさらに報酬を渡すのです。
賃貸仲介を生業としている業者にとって、追加のADは喉から手が出るほど欲しいもの。
こぞって入居者を付けてくれるはずです。
物件の状態を整える
内装・外装などの見た目を綺麗にしておくことや、設備の修理・点検を徹底しておくことも効果的です。
投資家が購入を検討する際にはマンションの見た目などの印象も大事になってくるからです。
日々の管理の中でもマンションのイメージを綺麗にしておくということを心がけましょう。
また、家賃滞納などマンション内でトラブルを抱えている場合は、そのような問題もしっかりと解決しておくことでさらなるイメージの向上につながるはずです。
広告の仕方を工夫する
先述したようにマンションを1棟売却する場合、ターゲットは投資家になります。
ターゲットが一般消費者でないため、いつも通りの広告手法じゃ全く反響がないでしょう。
通常のマンション売却では以下の広告方法が採用されがちです。
- 不動産ポータルサイトに情報を掲載
- 新聞折り込みチラシに掲載
- フリーペーパーの広告欄に掲載
このような従来の広告方法を少し考えて使うことが、マンションの1棟売却においては必要となります。
投資家がターゲットの場合、一般消費者向けの不動産情報ばかりなので新聞折り込みチラシやフリーペーパーはそもそも見ていません。
そのため、広告を掲載自体することがナンセンスと言えます。
投資家をターゲットにするなら、不動産ポータルサイトへの掲載に力をいれましょう。
ただ単純に掲載するのではなく「オーナーチェンジ特集」ページに掲載してもらうのです。
特別掲載料金がかかりますが、効果はバツグン。多くの反響が期待できます。
掲載する不動産ポータルサイトは「HOMES(ホームズ)」がオススメ。
昔からオーナーチェンジ物件が多く掲載されていたため、いまだにたくさんの投資家がチェックしているサイトです。
売却を依頼した不動産業者がホームズの特集ページに掲載していないようであれば、すぐに掲載するようにクギをさしてください。
不動産業者の抱える「見込み客」をうまく利用する
広告を工夫することによって多くの購入検討者が集まりますが、それだけでは足りません。
不動産業者がすでに抱え込んでいる「見込み客」を利用しましょう。
マンションの1棟売却を専門とする不動産業者は、日ごろから見込み客になりそうな人に「不動産投資に興味ありませんか?」と片っ端から電話営業しています。
大手企業に勤めた人なら、一度は経験あるのではないでしょうか?
ほとんどの人からは断られたり煙たがられたりしていますが、中には興味を示す人もいます。
1棟売却を専門とする業者は苦労して集めた「不動産投資に興味のある人」リストを大量に抱えているため、うまくいけば広告しなくても売却完了できるかもしれません。
多くの見込み客を抱えている業者に売却を依頼すれば、売却活動が効率的になるのは間違いないでしょう
1棟マンションの高額売却を達成するための売却方法・手順
ここまで、1棟マンションの売却に関する基礎知識やコツについて解説してきました。
では、実際に売却をするというふうに決めたときにはどんな手順で売却を進めるのがよいのでしょうか。
以下では、1棟マンションの高額売却を達成するための売却方法・手順を解説していきます。
不動産一括査定サイトで売りたい物件の相場を知ろう
マンションをまるごと1棟売却する際、査定の方法が全く変わることもあって、専門の不動産業者に頼まないといけません。
また、不都合な契約にならないように複数社に査定を依頼するのは大前提として、自ら複数社に査定を依頼するのは手間や時間もかかりすぎます。
それに何のコネも伝手もない人にとっては、一から専門業者を見つけるなんてハードルが高すぎますよね?
そこで重宝されるのが先述したような不動産一括査定サイトです。
オススメの一括査定としては「HOME‘S」「リガイド」が挙げられます。
マンションの1棟売却に特化した不動産業者と提携しているため、利用するだけで効率よく良質な業者と出会うことができるはずです。
先述した「見込み客をたくさん抱えている業者」ともコネクションができることでしょう。
目標売却額を決める
一括査定サイトで分かった相場から目標売却価格を設定します。
不動産会社と媒介契約を結び、一棟マンションを売り出す
契約する不動産会社を選びます。
この際、最も高い査定額を出してくれるなど、自分にメリットが大きい不動産会社を不動産一括査定サイトに登録されている不動産会社や、自ら足を運び査定を依頼した不動産会社から選びましょう。
なお、不動産会社と媒介契約を結ぶ際には売出価格が決定されます。
この査定額は変動することがあり、たとえば、購入希望者からの値上げ・値引き交渉や、なかなか売れない場合は値段を引き下げることもあります。
市場に出た一棟マンションはネットワーク上の物件情報や不動産ポータルサイト上で情報が掲載され、購入希望者を募ります。
売買契約の締結と引き渡しを行う
オーナーと購入希望者は、価格やリフォームの有無、設備の管理、登記費用や支払い方法などを交渉します。
お互いが合意したら、宅地建物取引士と不動産業者の立ち会いのもと署名と捺印を押して売買契約を結びます。
この時、買主は明確に購入の意思表示をすることとなり、物件価格の一部を手付金として支払うのが一般的です。
引渡し日も決定します。引渡しの日には清算や抵当権抹消登記などの手続きもおこなわれ、その後、不動産への報酬として仲介手数料を支払って売却が完了します。
確定申告を行う
日本の法律では、不動産を売却したら必ず自分で確定申告を行う必要があります。そのため、一棟マンションの売却でも、必ず確定申告をおこないましょう。
この場合、一棟マンションの売却で得た利益に応じて譲渡所得税という税金が課せられます。ただ、節税対策として経費を計上することによって課税対象になる譲渡所得金額が少なくすることができます。
必ず申告を忘れるようなことがないようにしっかりと確認しておきましょう。
マンション一棟売却に要する費用
一棟マンション売却を売却する際にかかる費用をまとめると、以下の6つが挙げられます。
- 測量費用
- 印紙税
- 仲介手数料
- 住宅ローンの残債
- 抹消登記手数料
- 譲渡所得税
ただし、これらの中には支払う必要がないものもあります。何を支払う必要なのかは、不動産会社に確認するのがよいでしょう。
土地の売却時などにかかる測量費用は、土地の広さにもよりますが、一般的な住宅用地なら約40~50万円です。
ただし、もし土地が市区町村の道路や水路などに接している場合は、約50~60万円程度、国道などに接している場合は、約60~80万円程度です。
また、印紙税は売買契約書に張り付ける印紙の購入代金です。契約金額によって印紙の代金は異なり、金額が上がれば上がるほど印紙の代金も上がります。
たとえば、1億円以上の取引をした場合6万円程度です。
まとめ
マンションを丸ごと1棟売却する際に必要な知識を紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
マンションの1棟売却をする際は、今回紹介した知識をぜひ活用してみてください。
きっと大きな力となってくれるはずです。