マンション売却では避けては通れない「交渉」について悩んでいませんか?
もしかすると、マンション売却の交渉について以下のような疑問や不安も抱えているかもしれません。
・交渉なしでマンション売却するための方法を教えて!
・マンションの売却交渉に強い営業マンはどんな人なの?
今回の記事では上記の「マンション売却の交渉」に関する疑問全てに、元・不動産業者として回答していきます。
この記事を読めば、「マンション売却の交渉」に関する、他のサイトには載っていない知識を得る事ができるでしょう。
これからマンションを売却する人、既に交渉を経験した人のお役に立てるはず。ぜひ最後までお付き合いください。
「マンション売却の交渉」について知るべき知識は3つ
私は元・不動産業者です。当時は毎週マンションの内覧会をしていたので、交渉も毎週していました。
交渉は不動産業者の一存だけでなく、持ち主の意向を汲んだうえで行うので本当に大変です。
実力がない新人時代の頃は、素人である購入検討者に交渉で負けて必要以上に値引きしてしまった事もありました。
実際に不動産業者が値引き交渉に負けてしまい、満足いかない売却結果になってしまったケースは多発しています。
アットホームの調査によって、売却結果に納得いかない人が全体の39%を占めている事が明らかになっています。
今回は「マンション売却の交渉」が記事の主題ですが、ネットを検索すると同じような知識ばかり掲載しています。
当サイトも同じような知識を紹介しても無意味です。
そこで、以下のようなちょっと変わった視点で「マンション売却の交渉」を深ぼってみたいと思います。
「マンション売却の交渉」3つの視点
- 「交渉のプロが使うテクニック」
- 「交渉なしで売却するコツ」
- 「交渉に強い営業マンの見極め方」
これら3つの知識を押さえておけば、「マンション売却の交渉」に関する知識は全て網羅できるでしょう。
交渉のプロが使うテクニック
ここまででは、「マンション売却の交渉」は3つの視点があるとお伝えしました。
「交渉のプロが使うテクニック」「交渉なしで売却するコツ」「交渉に強い営業マンの見極め方」に注目すべきだとご理解いただけたと思います。
まず紹介するのは「交渉のプロが使うテクニック」です。次項よりさっそく紹介していきます。
マンション売却交渉に重要なのは下準備
交渉をする際、「うまく行くだろうか」と悩む事になるでしょう。
「どのように話をしようか」「条件をどう伝えるか」などの内容が心配になります。
「提案を聞いた相手が怒ったらどうする?」「交渉決裂したらどうしよう…」などの不安もつきません。
重要なのは、交渉前の事前準備です。不安や心配を吹き飛ばすには下準備しかありません。
事前準備は順調に交渉を進めるだけでなく、交渉中にこちらを騙そうとする汚い戦術に負けないようにできます。
交渉で期待する成果をあらかじめはっきりする事で、その場の雰囲気に流されて譲歩する危険が少なくなります。
事前に交渉の進行を予想して手順を定める事により、交渉を効果的に推進する事ができる長所もあります。
では具体的にどんな下準備をしたらいいのでしょうか。効果的かつ効率的な準備方法を紹介してきましょう。
事前準備① 状況把握
人間は誰も不便な事実や自分に不利な現実を最大限直視したくないものです。
しかし、不便な事実を直視せず、安易な対策を立てても意味がありません。
交渉も同様で、冷静かつ客観的に状況を分析し把握する事が重要です。
事前準備② 目標の確認
ここでいう「目標」とは交渉を通じて最終的にどんな利得を得たいのか、という事です。
交渉合意によって、どんな新たな価値を作るのかイメージしなければいけません。
つまり何のために交渉して、合意をする事で最終的にどんな問題を解決したいのかを明確にするのです。
しかし大半は「目標」を考えず、ただ漠然と「安くしたくない」ために交渉しがちです。
満足いく交渉にするために、もっと具体的な「目標」を設定するのは必要不可欠といえます。
事前準備③ 有利なポイントは何か
「交渉の成功」は双方の利益が反映された結果であり、自分の利益が最大限反映されている事を意味します。
そのためにはなるべく新しい選択肢や条件を作り、お互いの意見の相違を克服する工夫が必要です。
一方的な譲歩ではなく、代わりに条件を出す事を繰り返す必要があります。
代わりの条件を出すには、自分の有利なポイントを明確にする事が重要です。
さらに、可能な限り多くの強みを準備する事が必要でしょう。交渉で自分を守る武器は自分の長所だけです。
その長所をどこで駆使するかが、交渉の成否を左右します。事前に自分の長所を再度確認しておきましょう。
事前準備④ 方向性を定める
目標や有利なポイントを考えたら、いよいよ協議事項について具体的に決めて行きましょう。
多くの人は交渉準備といえば、金額をどうするか等をイメージするはず。
しかし交渉は最終的に自分の利益が極大化するどうかが一番大事です。
金額をどうこうイメージする前に「方向性」を決定しなければなりません。
まずは交渉で話題になる「協議事項」を特定しましょう。
その後、協議事項に関して相手に提示する条件を決定し、自分が譲歩できる下限を定めてください。
マンション売却に使える実践交渉テクニック
実際の交渉の際には相手の心理的動向を把握して、うまく利用する事も必要です。
簡単な例だと「閲覧注意」でしょう。見るなと書かれていると見たくなる人はいます。
これはあまりにも単純化した例ですが、効果的に使う事によって交渉の確度を上げる事ができます。
次項より紹介する実践的な交渉テクニックは誰でもどこでも使える交渉術です。ぜひ真似してみてください。
テクニック①フット・イン・ザ・ドア
小さな要求からエスカレートをしていくと、本当に目的を実現する事ができるテクニックです。
道端で急に「お金を貸してください」と言っても誰も見向きもしません。
しかし「今何時かわかりますか?」と聞いた後に「お金を貸してください」と言えば成功確率が高くなります。
実は人は1度でも要求を飲むと、次の要求もOKにしてしまう傾向が高くなるのです。
最初は小さな願いからスタートしましょう。OKされれば、その後の成功確率が上がります。
この「フット・イン・ザ・ドア」を常用するのがファッションショップなどです。
まず「何かお探しですか?」と顧客たちに質問をして、相手から「探しています」と言わせます。
直ちに「お客さんに似合うものを探してあげましょうか?」と提案。
お客さんは「探している」と言った手前、拒絶できません。
商品を持って来たら「せっかくなので着てみてください」と聞きます。 顧客側は高確率で拒絶できないです。
テクニック②ドア・イン・ザ・フェイス
「ドア・イン・ザ・フェイス」は、前述の「フット・イン・ザ・ドア」の対称と考えると分かりやすいです。
最初に拒絶する前提で要求をして、その上で本当の目的だった小さな目的を通すテクニックになります。
例えば本当の目的が値下げを10万円までに留めるとします。
その場合、最初から値下げをしないと要求してみてください。おそらく拒絶される確率は大きいです。
拒絶されたあとに「10万円ならいいですよ」というのです。要求が通る可能性が高くなります。
自分が相手の願いを拒絶したのは「相手を譲歩させた」事になります。
つまり、何度も相手の願いを拒絶する事は、相手に何度も譲歩している事と同義です。
そして拒絶する事で、罪悪感が生まれてきます。次は頼みを聞いてあげようという考えにさせる事ができます。
ただ注意点が1つあります。最初の要求が、現実味のある要求を出すのが重要です。
最初から嘘とわかる要求をすれば、マイナスの感情につながるだけです。
不自然にならない範疇で、本来の要求よりも難易度の高い要求を考えるのが重要です。
テクニック③グッド・アンド・バッドコップ
「グッド・アンド・バッドコップ」は2人1組にする交渉手法です。
刑事が犯人の顔に白熱灯をつけて眠る事ができないようにしながら、激しく追及します。
その途中にもう一人の刑事は化粧室に行くなど理由をつけて席をはずします。
席を外しているうちにさらに激しくまくしたてます。そしてもう一人が返ってきたら優しく譲歩する。
これが「グッド・アンド・バッドカップ」です。
まず一人が相手に対して強硬な交渉を実行。交渉が難航したところで、もう1人が「まぁまぁ」と入ります。
「相手の意見も聞きましょう」と柔らかな態度で有利に交渉を妥結させるのです。
マンション売却の現場では、不動産業者が強硬な態度をして柔らかな態度を示すのが持ち主になります。
持ち主が協力してくれない時は、不動産業者側が二人用意する事も。
今まで紹介してきた交渉テクニックの中でも最も効果的な方法と言えます。
不動産を高く売るなら不動産一括査定は欠かせない
不動産を高くスムーズに売りたい!
そう考えるなら2つのポイントがあります。
- あなたの不動産に強い会社を見つけること
- あなたと相性の良い不動産会社を見つけること
2つ書きましたが、まとめると「信頼できる不動産会社を見つけること」。
ただ、信頼できる不動産会社と言われても、探せられないですよね…
そんな時に便利になるのが不動産一括査定サイトです。
不動産一括査定サイト(サービス)を利用すると、あなたの売りたいと思っている不動産情報と個人情報を入れるだけで、適切な不動産会社を自動的にマッチングし、複数の不動産会社へ一度に査定依頼が行えます。
不動産一括査定を選ぶ3つの基準とオススメの使い方
筆者が考える不動産一括査定のオススメランキングをお伝えします。
不動産一括査定も様々ありますが、やはり家やマンション、土地は高額になりますので、より得意としている会社を見つけたいですよね。
サイトを選ぶ基準としては下記3つ。
不動産一括査定を選ぶときの3つの基準
- 大手不動産会社に最低でも1社は査定が行えること
- 中堅や地域密着の不動産会社にも査定が行えること
- 不動産一括査定の運営会社がしっかりしていること
ポイントは、大手から地域密着の不動産会社まで幅広く依頼をすること。
大手は取引実績が豊富な分、やっぱり売却力があります。
ただし、お客さんをたくさん抱えているため、仕事のやり方がマニュアル通りといった感じ。
逆に中堅や中小・地域密着の不動産会社は社長自らが対応してくれたりします。
不動産一括査定を1つだけ使っても、大手不動産会社が見つからなかったり、逆に大手のみしか依頼できない場合が多々あります。
筆者としては、不動産は高額商品になるので、時間が掛かっても複数の不動産一括査定を使って、大手、中堅、地域密着の不動産会社それぞれに依頼することをオススメしています。
【結論】不動産一括査定のかしこい使い方
東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・京都・奈良の方は3サイトを併用する県庁所在地などの人口が多い都市は2サイトを併用する
地方や田舎などの人口が少ない市町村は3サイトを併用する
収益・投資用物件に強い会社が多数見つかる3サイトを併用する
交渉なしでマンション売却するコツ
ここまででは、「交渉のプロが使うテクニック」をお伝えしました。
交渉を本業とする人のテクニックについて、理解していただけたのではないでしょうか。
次に紹介するのは、「交渉なしで売却するコツ」です。次項より紹介していきましょう。
コツ① 相場価格より安く販売する
土地や家には価値があり、適正価格は時価で売却する事を意味します。
売り出し価格をどの程度に設定するかは売主の任意です。
しかし購入希望者が出ないような高額に設定しては売れるモノも売れません。
もし相場通りならば、購入予定者のほとんどはさらに引き下げる交渉をします。
結果的に交渉過程で、相場より安く売ってしまう事になるでしょう。
交渉の発生と価格は相反する関係にあります。
交渉なしで早く売ってしまいたい場合には、最初から相場よりある程度安くするのが一番です。
市場にアピールできず、購入希望者が他にも候補を持っていると最後は価格勝負です。
最初から安いと必ず注目される
インターネットが普及して日本国内だけでなく世界中から情報を見る事ができる今の時代では、常にマンションを求める需要があります。
自分のマンションなど、誰も買わないのではないかと思わなくてもたくさんの人が見てくれています。
最初から相場より安い金額で売却を行った際には、その事実を必ず市場で誰かが気づいています。
値下げ交渉なんて必要ない物件なんだと絶対にわかっている人がいるのです。
値下げ交渉をしていたら、他の人にとられると躍起になるので、むやみに交渉される事がありません。
相場が分からない時はどうする?
相場が分からなければ、相場価格より少し低い状態で売却開始できません。
複数の不動産会社に査定を依頼したり、同じような物件を探したり、不動産会社の担当者に助言を受けたりなどを行い、価値観を身につけましょう。
また、国土交通省が公表した土地総合情報システムでは、過去の取引事例を検索できるので、近くに同じ取引事例があれば参考にする事ができます。
地価を知る方法はいくつかあり、大半は無料で利用する事ができます。
土地は家とは違って、古くなる概念がないので時間が流れても相場が変わらなければ価格も変わりません。
しかしマンションは相場がよく変動します。
マンションの相場を知っておく事は、相手との交渉でも役立ち、無理な交渉を受けないための対策になります。
コツ② 買取を利用する
不動産会社が買い主を探し、間に立ってまとめることが仲介です。
マンションの売却は一般的に仲介を使用する事が多いが、値下げ交渉が発生しやすいです。
値下げ交渉に応じないと、いつまでも買い主が現われない事だってあります。
値下げ交渉をしないうえにサクッとマンション売却をするなら、「買い取り」を利用してもいいかもしれません。
最初から買取や買取保証を利用すれば、値下げ交渉とは無縁でいられます。
また買取の重要な点の1つに「不動産会社に仲介手数料を支払う必要ない」点があります。
買取や買取保証のネックとなるのは買取価格です。仲介の6割ぐらいになってしまいます。
そこは仕方がないとことと妥協するしかありません。
そもそも買取とは?
買取業者は不動産会社の1つで、買取業者は購入したマンションを他の人に売ります。
早い話、不動産を買い取る「リサイクルショップ」とイメージするとわかりやすいでしょう。
買取業者の金額は特に決まっておらず、断言できるのは買取業者の買い付け価格は相場よりも安くなります。
市場の6割程度が買取相場とされており、提示された金額に不満を持つようになるかもしれません。
しかし買取業者は慈善事業ではなく、買い入れた物を転売しなければ利益が出ないので仕方がないといえます。
買取保証とは?
仲介と買取を合わせたような方法が「買取保証」です。
これは先に定められた期間(数ヵ月〜1年程度)を仲介に出して、買主がつかなければ、あらかじめ決められた価格で不動産会社が買い取るものです。
すぐにでも売りたい場合は買取業者を利用する事が確実ですが、もしかして相応の価格で売れるかもしれない期待と、売却する期限がある場合では重宝します。
買取保証の場合は、当初の売却価格を高めに設定しておき、売れなければ徐々に下げるので、買取保証額より減ることはありません。
コツ③ 協力的な不動産を探す
値下げなしでマンション売却したいなら、当然不動産会社の良し悪しが重要です。
中でもマンション売却は、仲介する不動産会社の営業能力がその行方を大きく左右します。
仲介依頼すると担当者が付くので、担当者に意欲がなければ積極的に営業にもなされず、競争相手に負けてしまいます。
値下げをされる・値下げを容認するなどの原因は、不動産業者の担当にあると言っても過言ではありません。
それでは、意欲ある担当者はどう見分ければ良いのでしょうか。
どのような担当者も仲介を依頼する前には有利な言葉ばかり並べ、見分けるのは難しいです。
しかし意欲のある担当者はとにかく行動が早いです。
そのため、査定依頼後の反応だけで見分けることができます。
査定段階で複数の不動産会社と接触して比較してみましょう。
そして、どんな小さな事でも几帳面に報告する担当者を選ぶ事です。
営業は対人スキルで成績が決定されます、成績が優秀な営業社員は絶対に客との関係性をいい加減にしません。
仲介を依頼する際は「契約方式」に注意する
不動産会社に対する仲介依頼(媒介契約)には3種類があります。
1つの不動産会社に任せるのは「専属専任媒介契約」、1つの不動産会社に任せつつ、自ら買主を探す事ができるのが「専任媒介契約」、複数の不動産会社に依頼できるのが「一般媒介契約」です。
一般論として、不動産会社が力をかけて営業するのは、自社だけに依頼する専属専任媒介契約や専任媒介契約となります。
不動産会社の収入源は売買が成立した際に得られる仲介手数料のみです。
複数の不動産会社が競合する一般媒介契約では、他の不動産会社が売ってしまうと、営業費用が無駄になる可能性があります。
ただ「協力的な担当者を見つける」という観点だと、専属専任媒介契約や専任媒介契約の場合は、多くの担当者と接する機会が失われるため、一般媒介契約が有利な場合もあるかもしれません。
媒介契約によって「報告義務」が違う
3種類の媒介契約は、法律に定められている「顧客に対する報告義務」が異なります。
売主においては、自分の物件が注目されていないのか、問い合わせはあったかなど気がかりな点が多いので、随時報告を願うでしょう。
専属専任媒介契約は1週間に1回以上の報告義務があります。
専任媒介契約は2週間に1回以上の報告義務、一般媒介契約になると法律上の報告義務はないです。
最初は報告に力が入っていても、長期間売れず、何の接触もなければ報告もその場しのぎの定型メッセージなどになりやすいです。
ある意味仕方がないことですが、売当から見るとこのような報告が不動産会社を選ぶ際の参考になります。
「囲い込み」されると値下げ交渉になりやすい
「囲い込み」は、仲介を依頼した不動産会社が他社からの問い合わせに対応せず、買主を見つけるまで情報提供を拒否する行為です。
一見、不動産会社にとっては不利と思われますが、売主と買主双方とも自社の客とすることで、仲介手数料を両方から得ることでき、手数料目当てで行っている会社もあります。
本来ならば、全国に発信されるべき物件情報が、不動産会社で止められるのは明らかにチャンスロスをもたらします。
「買う人がいないから」という理由で値下げ交渉を持ち込まれる事もあるでしょう。
一概に決めつけることはできませんが、囲い込みは大手不動産会社に多いです。
知名度だけで安易に不動産会社をチョイスしないようにしましょう。
また「レインズ」(不動産流通標準情報システム)が囲い込みを防止するために、取引状況の掲載を必須項目としました。
取引状況は売主も確認できるため、現況をリアルタイムで把握する事ができます。
レインズの対策は有効だとされておりますが、囲い込みを完全に防ぐ事ができるという保証はありません。
売主も常に意識して目を光らせておく事が大切です。
住宅ローンを理由にした値下げ交渉に注意
媒介契約した不動産会社が意欲満々で、すぐに広告を掲載、すんなりと買い手が付いたとします。
その後、不動産を購入するために金融機関へ融資を申請しなければなりません。
ローンの審査には、仮審査(事前審査)と本審査があり、本審査が通過しないとお金を貸してくれないのはどこも共通です。
しかし、買主と売主が売買契約を結び、その売買契約書を金融機関に提出する段階まで行かなければ、本審査を申請する事はできなくなっています。
つまり事前審査で出た融資金額が売却金額に足りないので、値下げして欲しいと言われる事があるのです。
融資審査は通常1カ月程度の時間を有するので、買主が審査で落ちた場合、また、他の金融機関に申請することになり、さらに時間がかかります。
時間がかかるが故に、値下げをOKにしてしまう事も少なくありません。
ローン審査を理由に出されて交渉になりたくないなら、事前に住宅ローンの融資枠が売却金額以上である人だけを相手にするのが一番です。
交渉に強い営業マンの見極め方
ここまででは、「交渉なしで売却するコツ」をお伝えしました。
どうすれば交渉なしでマンションが売却できるのか、理解していただけたのではないでしょうか。
次に紹介するのは、「交渉に強い営業マンの見極め方」です。
マンション売却における永遠のテーマが営業マンの能力です。
近年、チームワークを重視する営業戦略やITを活用した会社が多い中、あえてアナログな「対人交渉技術」を極めた営業マンも実在します。
このような営業マンに担当してもらえれば、交渉に負ける事は絶対にないでしょう。
交渉に強い営業マンには、いくつか特徴があります。
その特徴を見極める事ができれば、最強の交渉力をあなたが活用できるのです。
圧倒的な交渉力をもつ営業マンはどんな特徴があるのか、次項より紹介していきましょう。
特徴① 話が上手いわけではない
話上手かどうかは、営業社員の能力とは何の関係もありません。
むしろ重要なのは「聞き上手」であることです。「真の饒舌は口べたにあり」などという言葉もあります。
満足いくマンション売却にしたいなら、2割話して8割聞く…程度が適当です。
どんな販売も営業社員と顧客、お互いの関連性をベースとして成立します。
「時間を取りたい」「説明したい」「商品を買ってください」など、一方的なアプローチは何も作り出しません。
とにかくまず、真剣に耳を傾けるのが重要です。
医師が患者の状況を聞くように、じっくりと購入検討者の要求、あるいは価値観や信条、お金の使い方などを聞き出します。
本当に優秀な営業社員は「決断してください」というところを「決断して本当に大丈夫ですか?」と確認します。
後者の方が決断をためらう理由を聞き出せる可能性があるからです。
つまり顧客を理解することに全力をかけること。そして、その後で最適の提案をできるのが交渉に強い営業マンです。
特徴② 焦りを感じさせない
きっかけとなる「セールストーク」は商品やサービスで千差万別ですが、少なくとも最初の面談は「インタビュー」と考えている営業マンが有能です。
決して交渉の成立を焦ってはいけません。 あくまで情報収集を目的としています。
たとえば「○○万円はいかがですか.?」ではなく、「今お住まいのマンションはどうですか?」などと少し離れたところから現在の状況、要求を探ります。
その次の段階として、落ち着いてその要求を満たす形の提案をするのです。
最初から「こうしてください!」のようなオーラを出せば相手は引いてしまいます。
目標はウインウインの関係です。こちらだけ得をしたいという意識が相手への負のオーラになります。
マンション売却の交渉に成功談・失敗談
前章では、「交渉に強い営業マンの見極め方」をお伝えしました。
マンション売却の交渉の強い見方になってくれる営業マンの特徴を理解していただけたのではないでしょうか。
ここまで「交渉のプロが使うテクニック」「交渉なしで売却するコツ」「交渉に強い営業マンの見極め方」の3テーマを解説してきました。
さらに理解を深めてもらうために、ここからはマンション売却の交渉に成功談と失敗談をそれぞれ紹介します。
交渉に成功して満足いくマンション売却になったAさんの成功談
無事に内覧者もたくさん増えて購入検討者が増えてきたのはいいことですが、それに合わせて値引き交渉も非常に多くなってきました。
インターネットの情報を見ているせいか、素人と思えない内容が切り口をしてくる人も多く、苦戦したのを覚えています。
基本的には不動産会社が値引き交渉の窓口なってくれたのですが、最終的な判断は私がしなければなりません。
「これだけの金額を値引きしてくれたら買うと言われました」と不動産業者から言われ、それについてYES かNO かを答えるという日々が続きました。
ただインターネットの記事を見て何かを学習したのか、300万円400万円の値引きを最初に要求してくるという突拍子もない提案ばかり突きつける日々が続いたのです。
不動産業者によると、本当に買う気のある人はNOを突きつけられたとしてもまた、購入したいと言ってくるはずと言っていました。
NOをつきつけ続けていると、不動産業者の言う通りに何人かが「300万から400万値引きはいいので、少なくとも100万円ほどの値引きはして欲しい」と言ってきたのです。
これについては非常に困りました。100万円の値引きをすれば購入すると言っていたので、それを信じて100枚の値引きを容認しようと思ったのです。
ただそれについて不動産業者に相談すると「内覧者を募集して1ヶ月程度で100万円も値引きするのはおかしい」と指摘されたんです。
通常、100万円以上値引きをするときは、売却を開始してから3ヶ月ぐらいたってからするのが定説とのこと。
そのため「今行う100万円の値引きは異常過ぎるスピードだ」と主張していたのです。
今の段階で100万円値引きして、もしその人が買わなければ「あのマンションは100万円の値引きをしてくれるマンションだ」と情報が流布され、こちらの不利になってしまうと言われたんです。
この考えは非常に納得がいきました。せっかく買ってくれるかもしれない人を逃すのは、後ろ髪引かれる思いでしたが思い切ってNG を突きつけることにしたのです。
NOを突き付けたにもかかわらず…
人間の心理とは不思議なものです。NG と言われ続けると、どうしても買いたくなるという心理が働くのでしょうか。
100万円の値引きで買うと言ってた人に、NG を突きつけた約1週間後。
「100万円と言わずに30万円の値引きでもいいのでぜひ譲って欲しい」と言ってきたのです。
これについては担当する不動産業者も「寝耳に水」といった感じで非常に驚きをかくせていない様子でした。
もともと100万円の値引きで売るか売らないか悩んでたので、この件についてはふたつ返事でOK を出しました。
本当に30万円値引きして買ってくれるのか心配ではありましたが、とんとん拍子で話が進みます。
売買契約が終わり、気がつけば売却ができていたのです。
相手からの強気な値段交渉には一切応じず、我慢した結果が出たと非常に嬉しく思いました。
これからマンション売却の交渉にのぞむ人へ
もしこれからマンション売却する人がいるのであれば、むやみやたらに値引き交渉には応じないことをお勧めします。
本当に買いたい人は、最初の金額設定でも買ってくれるものです。
そもそも値引きをするなんて告知をしなくても内覧に来ているのですから。物件を気に入ってることはまず間違いありません。
もしかすると適正金額でも買ってもいいと思ってるのかも…。
しかしインターネットで得た情報などで、値引きをもしないと自分が負けた気になると思っているのかもしれません。
自分のマンションは早く売れて欲しいと思ってしまうがゆえに、値下げ交渉にどうしても許可してしまいがちです。
しかしその気持ちをぐっとこらえて、値引きしないようにすれば満足いく売却結果になると思います。
マンションも広告を出して内覧者が結構な数くるのであれば、値引きをしなくても購入してくれる人は必ず現れます。
すぐに値引きをするようなことは、あまりおすすめできません。
交渉失敗で納得いかないマンション売却になったBさんの失敗談
私のマンション売却は、結果的に全く納得のいかないものでした。
なぜかというと、私のほうについていた不動産会社が非常に無能だったからです。
今回のマンション売却は「片手売買」と呼ばれるもので、持ち主と購入検討者それぞれに不動産会社がつくという図式でした。
つまり不動産会社それぞれの交渉力が競われる形になったのです。
購入検討者についていた不動産会社は某大手不動産会社の売却エージェントのため、交渉力はとてつもないものがあったのでしょう。
地場の不動産会社である私の担当営業マンはタジタジでした。
付け焼刃の交渉テクニックを誇示したところで一切応じず、相手の出してくる様々な心理戦術に負けてしまったのでしょう。
交渉力がある業者が相手になるとどうなるのか
私自身も購入希望者がついているということ自体が嬉しかったので、値引きに応じてしまおうか非常に迷いました。
ただどうしても値引き金額である150万円が高すぎるのではないかと思っていたのです。
しかし交渉がうまい人は、人間の心理を操るのは非常にうまいのでしょう。
相手側についてる不動産業者が持ち主である私にも交渉をかけてきたのです。
150万円の値引きが高くないということを熱心に伝えられ、結果的に納得してしまいました。
売却した後、自分のマンションの売却相場を見てみると、自分のマンションが史上最安で売られてることに気づき愕然としました。
購入者側としては何の問題もないマンションを150万円も値引きして購入したのですから、さぞ嬉しいことでしょう。
片手売買の場合は、不動産業者と不動産業者の交渉力の勝負になります。
不動産業者はどの業者もプロなので交渉に長けてる人が多いだろうと勝手に思っていましたが、残念ながらそうではありません。
「私の方が口がうまいのではないか」と思うほど、交渉が下手くそな営業マンが実際にいるのです。
ネットには「信頼できる不動産業者を選べば成功できる」と書いていましたが、それは少し間違っていると思います。
正しくは「交渉力があり、信頼できる営業マンを選ぶべき」です。
交渉能力がない営業マンがついてしまえば、マンション売却は絶対に失敗します。
これから売却をする人はぜひ交渉力のある人を売却担当につけるようにしてください
まとめ
「マンション売却の交渉」を主題として3つのテーマを解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
「交渉のプロが使うテクニック」「交渉なしで売却するコツ」「交渉に強い営業マンの見極め方」について理解いただけたと思います。
この3つのテーマさえしっかりと理解しておけば、「マンション売却の交渉」で困る事はありません。
さらにマンション売却の交渉の成功談と失敗談も紹介したので、十分すぎるほどの知識を得ているはず。
今後マンションの売却をする機会があるなら、今回紹介した知識をぜひ参考にしてみてください。