日本は世界でもトップクラスの長寿国です。
「人生100年時代」と言われ、老後が長いことを前提に住まいを考えることも必要になります。
これから老後を迎える人は、老後を快適に過ごせる住まいについて知りたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
子育て期と比べて老後は家族構成やライフステージも変化するため、それにあわせて住まいに求めるものも変わり、事前に老後の生活をイメージして「老後の住まい」を考えはじめることが大切です。
そこで、この記事では「老後の住まい」について解説します。
この記事を読むことで、「老後を快適に過ごすための住まいの選び方」や「定年退職後に住宅ローンを組む方法」について、知ることができます。
老後を安心して過ごせる理想の住まい選びの参考として、最後までご覧ください。
老後を快適に過ごすための住まい選び
まず最初に、様々な住まいの選択肢があるなかで、どのような住まいを選ぶべきなのか、選択肢ごとに解説していきます。
老後を快適に過ごす住まいの選択肢5つ
- 戸建てかマンションか
- 都心か郊外か
- 持ち家か賃貸か
- 新築か中古か(購入を検討する場合)
- 二世帯住宅や賃貸併用住宅
それぞれのメリット・デメリットなど詳しく解説していきます。
老後を快適に過ごすための住まいの選択肢1.戸建てかマンションか
老後の住まいは「戸建て」にするか、「マンション」にするかという選択肢があります。
戸建てのメリット・デメリット
戸建てのメリットは、管理費や修繕積立金、駐車場代がなく、マンションに比べ維持費が安くなるという点です。
また、ペットも自由に飼えるので、新しいパートナーとしてペットと一緒に暮らすことも可能です。
デメリットとしては、階段や段差があると老後のバリアフリー工事が必要になり、改修費用が必要になります。また、寝るときや出かけるときなどの戸締りなど防犯面に気をつかうといった点もあります。
マンションのメリット・デメリット
マンションのメリットは、エレベーターがある物件なら階段を気にすることなく、老後も住みやすいという点です。
また、管理人がいる物件やオートロックのある物件であれば、防犯面も優れています。
デメリットとしては、管理費や修繕積立金、駐車場代等の維持費が発生するという点です。
また、上下階や隣室の生活音が気になるなど、騒音トラブルに悩まされる可能性もデメリットになります。
戸建て・マンションの選ぶポイント
一般的に、老後の場合は住み心地を考慮するとマンションの方がおススメ出来ます。
戸建ての場合、風呂場が寒い物件も多いため、冬に高齢者が風呂場で死亡する事故もあります。
また、戸建ては階段があり、昇降が億劫になってしまう人も多いです。
マンションの方が安心して暮らせる環境と言えるでしょう。
ただし、マンションに住み慣れていない人の場合、突然マンションに住むと、不自由を感じこともあるかもしれません。
マンションは戸建てと異なり、駐車場と部屋までに距離があります。老後でもキャンプやサーフィン、スキー等、大きな荷物の持ち運ぶ趣味をしたいという人は、不便に感じるかもしれません。
最終的には、それぞれのライフスタイルに合った、選択が求められます。
老後を快適に過ごすための住まいの選択肢2.都心か郊外か
老後の住まいには、「都心」か「郊外」かという、エリアの選択肢もあります。
都心のメリット・デメリット
都心のメリットは、やはり病院やスーパー等が充実しており住みやすいという点です。
都市部では、交通の便がよいので車を持たなくても生活できます。
逆にデメリットは、住居費が高いという点です。購入・賃貸ともに、都心では値が張ります。
郊外のメリット・デメリット
郊外は住宅価格も安く、条件の良い居住空間が得られるというメリットがあります。
また、都会の喧騒から離れて、自然に囲まれながらゆったりと暮らせるという点も魅力です。
郊外のデメリットは、生活するうえで車が必須となってしまう点になります。
近くに医療施設がない場合、遠くの病院まで通わなければいけなくなることもあります。
都心・郊外の選ぶポイント
老後の場合、生活圏内に色々そろっている都心の方がおススメとなります。
都心であっても、少し条件を見直せば安い物件もありますので、住居費を安くしながら住むことはできます。
ただし、元々郊外に住んでいた人は、そのまま郊外に住むことをおススメします。
知らない土地で新たな人間関係を築くよりは、環境を変えずに今の土地で住み続けた方が快適です。
いずれにしても、環境をガラッと変えることは避けた方が良いでしょう。
老後を快適に過ごすための住まいの選択肢3.新築か中古か
老後の住まいを購入しようとする場合、選択肢として「新築」か「中古」かというポイントがあります。
「新築」と「中古」では、物件価格が大きく異なるため、経済的な負担を考慮しながら選んでいく必要があります。
新築のメリット・デメリット
新築のメリットは、綺麗で設備が新しいので快適に住めるという点です。
また、当面の間は大きな修繕費が発生する可能性は低いでしょう。
新築のデメリットは、やはり価格が高いという点です。新築のなかで選んでしまうと、価格を安く抑えるため、結果的に不便な場所になってしまったり、狭い物件になってしまうこともあります。
中古のメリット・デメリット
中古のメリットは、第一に価格が安いという点です。新築では経済的に手が出せないような条件の良いマンションでも、中古で探せば購入できるということもあります。
デメリットとしては、物件を選んで購入しにくいという点です。都合よく駅前の物件や日当たりの良い物件が売りに出されているとは限らず、ある程度条件を妥協しながら選ばなければなりません。
また、修繕やリフォームが必要なケースもあります。
新築・中古の選ぶポイント
ローンを組まずに新築を購入できるような人は、新築をおススメしますが、基本的には、老後の場合、経済的な負担の少ない中古の方がおススメと言えます。
自分にあった中古物件を見つけるには、条件や希望エリアを決め、不動産会社に伝えておきましょう。そして、条件に合致した売物件が出たら教えて欲しいと依頼しておくことです。
急いで住み替える必要のない人であれば、中古でも満足できる物件を買える可能性は高いです。中古を買う人の中には、5年くらい待って気に入った物件を購入するような人もいます。
なお、近所に新しいマンションができ、ローンを組まずに購入できるような人は、新築マンションもおススメです。
実際に、郊外では新築マンションを近所の高齢者が買い替えるケースが良くあります。
今の物件が住宅ローンを完済していれば、売却額を購入資金に充てることができますので、新築マンションも大きな負担なく購入できます。
老後を快適に過ごすための住まいの選択肢4.持ち家か賃貸か
老後の住まいには、「持ち家」か「賃貸」かという選択肢があります。
ご自身の貯蓄やローンの状況など、経済面を意識しながら選択していきましょう。
持ち家のメリット・デメリット
持ち家の一番のメリットは、すでに保有している場合、住み慣れた家で安心して暮らせるという点です。
また、ライフスタイルの変化にあわせて自分で自由に間取りが変更できる点もメリットといえます。
お金の面では、住宅ローンが完済していれば住居費が安いという点もメリットです。
デメリットとしては、修繕費やリフォーム費用、固定資産税等が発生するという点です。
修繕費は、戸建ての場合、まとまった金額が必要となり、マンションは修繕積立金の支払いが続きます。あわせて、不動産価値の下落による資産価値の低下や相続税対策が必要な点もデメリットになるでしょう。
賃貸のメリット・デメリット
賃貸のメリットは、気楽に住み替えができるという点です。子供の独立に合わせてコンパクトな家に住み替えたり、定年に合わせて静かな環境に引っ越すことが気軽にできます。
設備や内装の修繕費用、大規模なリフォームの費用を負担しなくて良い点も大きなメリットです。
賃貸の一番のデメリットは、資産として何も残らない、という点です。
また、家賃を払い続ける必要があり、更新料も発生します。将来的に単身高齢者は借りにくくなる等のデメリットもあります。
持ち家・賃貸の選ぶポイント
住宅ローンを完済している人であれば、賃貸よりも毎月の出費は少なくなる、持ち家がおススメです。
逆に、新規で住宅ローンを組む必要がある場合は、持ち家が有利とは限りません。
賃貸であれば突発的に大きな修繕費が発生しないため、貯金を大きく切り崩すようなことはありません。
年金で十分に支払うことのできる家賃であれば、賃貸にもメリットが出てきます。
また、ライフスタイルの変化に合わせて、何度か引っ越しをしていきたいと考えている方も、賃貸の方が自由がきくのでおススメです。
老後を快適に過ごすための住まいの選択肢5.二世帯住宅や賃貸併用住宅
前章までとは、少しタイプが異なりますが、十分に広い土地が確保できている人の場合、「二世帯住宅」や「賃貸併用住宅」という選択を検討することが可能です。
二世帯住宅のメリットは、家族がすぐ近くにいるため安心できるという点です。一緒に住んでいれば、自分たちに介護が必要となったときでも、安心して住み続けることができます。
しかし、必ずしも子供たちが一緒に住みたがるとは限らないのというのが事実です。家族で相談しながら、検討要素に入れてみてはいかがでしょうか。
対して、賃貸併用住宅のメリットは、家賃収入も得られるという点です。
しかし、立地条件が良く賃貸経営に向いている物件でないと、なかなか上手く運ばない部分もあるので、難易度は高いでしょう。
定年退職後に住宅ローンを組む方法
老後の生活資金や年金など、経済面での計画を練ったうえで、「住宅ローンを組んで住み替えたい」という方もなかにはいらっしゃるでしょう。
実際、定年退職後でも住宅ローンを組める可能性はあります。この章では定年退職後に住宅ローンを組む方法について解説します。
定年退職後に住宅ローンを組む3つの方法
- 単独申請をする
- 収入合算で申し込む
- 親子リレーローンを使う
1.単独申請で住宅ローンを組む
定年退職後に住宅ローンを組む方法としては、まずは単独名義で申請をしてみるのが基本です。
住宅ローンを組むには安定した収入があることが原則ですが、多くの銀行は公的年金を安定収入とは認めてくれません。
一般的に年金生活者は年金だけでは十分な生活ができず、貯金も切り崩しながら生活することが多いです。
そのため、銀行の考え方としては、年金は最低限の生活資金として確保しておくもので、住宅ローンの返済原資とは認められないという解釈をしています。
ただし、フラット35では公的年金も安定収入と認めてくれますので、フラット35なら住宅ローンを組むことができます。
一方で、公的年金以外に私的年金を受け取っている人は、年金生活者であっても民間の銀行で住宅ローンを借りることができる場合があります。
私的年金とは、民間の保険会社などが販売している年金保険や確定拠出年金のことです。条件によっては借りられる人もいますので、私的年金をもらっている人は民間の銀行にも打診してみてください。
なお、老後の住宅ローン申請では、申し込み可能年齢と完済年齢についても、注意が必要です。
多くの銀行では、住宅ローンの申し込み可能年齢は70歳まで、完済年齢を80歳に設定しています。ご自身の年齢を踏まえて計画を立てていきましょう。
2.収入合算で住宅ローンを申し込む
収入のある人と同居しているケースでは、住宅ローンを収入合算で申し込むことも可能です。
例えば、配偶者に収入がある場合、配偶者と収入合算すると年金生活者でも住宅ローンを組めることがあります。
単独申請では借入希望額に対して年収が足りないケースでも、収入合算は有効な解決策となります。
ただし、収入合算をするケースでは、収入合算者は転貸保証人もしくは連帯債務者になることが基本です。
連帯債務とは、収入合算者と家を共有し、本人も収入合算者もそれぞれ住宅ローンを返済する形式の債務です。
それに対して、連帯保証は、主たる債務者が家を単独所有し、主たる債務者が1人で住宅ローンを返済し、収入合算者が連帯保証人となる形式の債務になります。
よって、収入合算をする場合は、収入合算者がリスクを十分に理解した上で、協力してもらうことが必要です。
3.親子リレーローンを使う
定年後に住宅ローンを組む方法として、親子リレーローンという方法もあります。
親子リレーローンとは、主たる債務者が親、後継者の子供が連帯債務者になり、親子で一つの住宅ローンを返済していくローンです。
フラット35であれば、親子が同居していなくても親子リレーローンを組むことができます。
ただし、親子リレーローンでは、親が死亡した後は子供が返済を続けることになります。
例えば、親が死亡後に子供が新たなローンを組みたいと思っても、親子リレーローンの残債が理由で新たなローンが組めないこともあります。
そのため、親子リレーローンを利用する場合は、例えば商売をやっている家系で、子供もその家に同居しており、将来的にもその家に住み続ける予定のある人が適しています。
条件に合致していそうであれば、親子リレーローンも検討してみてください。
なお、住宅ローン返済中に家を売却することは可能です。
しかしながら、住宅ローン返済中の物件は、抵当権が設定されています。
抵当権とは、住宅ローンの融資を受ける際、物件を担保にしてローンが返済できない場合に担保を差し押さえるための権利です。
住宅ローン返済中の家を売却する場合は、住宅ローンを完済して「抵当権」を抹消する必要があります。残りの返済金額より上回る金額で家を売却し、住宅ローンを一括返済しなければなりません。
まとめ
「老後の住まい」について解説してきました。
老後は、自分たちのライフスタイルや、経済状況に合った住まい選びが大切になります。
住み替えで定年退職後に住宅ローンを組む場合は、「単独申請をする」、「収入合算で申し込む」、「親子リレーローンを使う」の3つがありました。
また、保険選びで迷ったら「コのほけん!」を参考にしてみるのをおすすめします。
老後に備えて、早めに快適に過ごせる住み替えを検討しましょう。