家を売ろうとしてもなかなか売れないことがあります。
・売れない期間がどれくらい経ったら、方針を変えて方がいいの?
・売れない家をどうやったら売却できるようになるのか教えてほしい
上記のような疑問や不安を持っているのに解決しないまま、家の売却を進めてはいけません。
売却中の家が売れない状況は変わらないでしょうし、最終的に安く買い叩かれてしまう可能性もあります。
せっかく大切な家を売却するのですから、売れない状況を打破して誰よりもうまく・高く売却したいですよね。
そこで今回の記事では売れない家の対策方法について、実際に仲介を担当していた元・不動産業者である筆者が解説していきます。
この記事を読めば、なかなか売れない家を上手く売却するための知識がすべて網羅できるとお約束します。
家の販売期間はずっと3ケ月のまま
人口減少社会に入り、いよいよ家が売れない時代が到来してきました。
以前は、不動産会社の営業マンは先輩社員から「売れない家なんてない」と教わっていましたが、今はそうは言えない状況。
では、不動産の売却期間は、実際のところどれくらいかかかるのでしょうか。
ここで、公益財団法人東日本不動産流通機構で発表されている「首都圏不動産流通市場の動向(2018年)にて、不動産を売りに出してから成約するまでの平均日数がありますので紹介します。
過去10年間の売却に要する平均日数を示すと以下の通り。
売却に要する平均日数は、10年平均でマンションは「71.5日」、戸建ては「88.9日」、土地は「95.9日」となっています。
つまり、販売期間は平均するとやはり約3ヶ月。
上記のデータは首都圏なので、「地方とは違う!」という声も聞こえてきそうですが、少なくとも首都圏では売却に要する期間に顕著な増加傾向はありません。
マンションはここ数年、やや長期化していますが、それでも戸建てより短く3ヶ月以内。
家が売れない時代になったとは言われますが、やはり売れている家は3ヶ月程度で売れています。
よって、適切なアプローチを踏めば、家は3ヶ月で売れるのです。
家が売れない3つの原因
この章では、3ヶ月以上経っても家が売れないよくある3つの原因について解説します。
家が売れないよくある3つの原因
- 売出価格が高い
- 不動産会社が両手仲介を狙っている
- 物件に問題が多過ぎる
原因①売出価格が高い
家が売れないほとんどの原因は「売出価格が高い」ということ。
そもそも売れる値段になっていないことが、売れない原因です。
特に戸建ては売り出し価格が高い可能性があり、大幅に金額を見直す必要があります。
ここで、公益財団法人東日本不動産流通機構の首都圏不動産流通市場の動向(2018年)が示す、過去10年間のマンションと戸建の売り出し価格と成約価格の推移を示します。
まず、マンションの売り出し価格と成約価格の推移は以下の通り。
首都圏のマンションは、10年平均で
- 売り出し価格:2,843万円
- 成約価格:2,787万円
です。
平均の差額は約56万円であり、売り出し価格に対してはわずか2%の差となっています。
一方で、戸建ての売り出し価格と成約価格の推移は以下の通り。
首都圏の戸建ては、10年平均で
- 売り出し価格:3,786万円
- 成約価格:2,996万円
となっています。
平均の差額は約790万円もあり、売り出し価格に対しては20%も差が開いています。
よって、戸建ての場合、売り出し価格が2割くらい高過ぎて売れなくなっている可能性が大いにあります。
例えば、4,000万円で売りに出している戸建てが売れない場合、3,200万円まで値下げしないと売れないということ。
かなり大きな値引きに感じますが、これだけ差があると、「価格が売れない最大の原因」というのも納得できると思われます。
SUUMOやアットホームに載っている値段は、いわゆる売り出し価格。
売主が他の売り物件と比較して高くないと感じていても、成約価格ベースでは十分に高い可能性があります。
成約価格は売主にはわかりません。
そのため、売主は妥当な価格で売っているつもりでも、実は高過ぎる価格で売っている可能性があるのです。
よって、戸建ての売主は、特に価格を見直すことを中心に考えるのが良いでしょう。
原因②不動産会社が両手仲介を狙っている
家は不動産会社が両手仲介を狙っていることによりなかなか売れないことがあります。
大手の営業マンはノルマがきついので、強引に両手仲介に持ち込もうとすることが良くあります。
両手仲介は、まず高い査定額で専任媒介等の契約を取り、販売活動を開始してしばらくすると売主に対して値引きを持ち掛けてきます。
その後、自社で連れてきた安い買主と強引に成約させるというのが典型的なパターンです。
不動産の媒介契約(仲介の契約のこと)には、「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。
媒介契約の種類の主な特徴は以下の通り。
専任媒介または専属専任媒介(以下、「専任媒介等」と略)は、一社にしか不動産売却を依頼することができないため、不動産会社が囲い込みをすることができます。
囲い込みとは、他の不動産会社が買主を紹介してきても断わる行為のこと
両手仲介狙いで囲い込みをされると、他の不動産会社が買主を見つけてきても断ってしまうため、売却が長期化する原因となります。
原因③物件に問題が多過ぎる
売れない理由には、物件に問題が多過ぎることもあります。
例えば売却のネックとなる問題としては、以下のようなものがあります。
- 事故物件である
- 家が傾いている
- 損傷・故障個所が多い
- 境界が明確でない
- 更地価格よりも取壊し費用の方が大きい
事故物件とは、過去に自殺現場となった物件や、殺人事件、火災、忌まわしい事件・事故等があり、心理的な面において住み心地の良さを欠くような物件のこと
事故物件はいわゆる心理的瑕疵(かし)のある物件です。
残忍な殺人時間があったような現場では、連日のように報道が行われるため、人々の記憶に強く残り、物件の価格が大きく下落します。
家が傾いている物件も、住宅としての通常有すべき品質を欠いている状態。
傾いているような家は、取り壊さないと売却できません。
損傷や故障が多過ぎる物件も売却困難となります。
中古物件には多少の不具合は付き物ですが、多過ぎる物件はやはり売れない原因となります。
境界が明確でなく、隣地と争っているような物件も売却は難しくなります。
境界が紛争中の物件をわざわざ購入する人は少ないです。境界は重要な問題ですので、売却時は全て確定していることが基本です。
築年数の古い物件で、更地価格よりも取壊し費用の方が大きいような物件も売却できない物件となります。
古家があることで既にマイナスの価値の物件ですので、このような物件も取り壊してから売却することが必要です。
売れない家を売る5つの対策この章では売れない家を売る5つの対策について紹介します。
売れない家を売る5つの対策
- 地元の不動産会社に切り替える
- 一般媒介に切り替える
- 瑕疵担保保険を付保する
- 設備を修繕して売る
- 価格を見直す
対策1.地元の不動産会社に切り替える
売れない家は、地元の不動産会社に切り替えるのも対策の一つです。
現在、遠方の大手不動産会社に依頼しているようであれば、地元の不動産会社に切り替えた方が良いです。
売れない家は、往々にして金額が安いため、ノルマがきつい大手の不動産会社の営業マンはやる気を出しません。
すぐ売れて、自分の営業成績が伸びるような物件に注力してしまいます。
金額が安くても丁寧に売却してくれるのは地元の不動産会社なので、大手で売れない場合には、地元の不動産会社に切り替えることをオススメします。
また、大手の不動産会社は両手仲介を狙ってくるのが通常です。両手仲介を狙われると囲い込みが行われ、売却までの時間がかかります。
囲い込みを避けるには、大手の不動産会社は避けた方が良いです。
対策2.一般媒介に切り替える
家が売れない場合は、一般媒介に切り替えることも効果的な対策です。
一般媒介で複数の不動産会社に依頼すると、競争原理が働くため、スムーズに売却できるようになります。
不動産会社が得ることのできる仲介手数料は成功報酬なので、仲介手数料を得ることができるのは早い者勝ちになるからです。
同時に囲い込みも避けられることになり、売却はスピードアップします。
ちなみに「一般媒介に切り替えたらすぐに売れた」というケースは後を絶ちません。
やはり不動産を売却するなら一般媒介の方がどう考えても有利です。
専任媒介等で売却できない人は、ぜひ一般媒介を試してみてください。
複数社の依頼でオススメなのが不動産一括査定を使うことです。
不動産一括査定サイト(サービス)を利用すると、あなたの売りたいと思っている不動産情報と個人情報を入れるだけで、適切な不動産会社を自動的にマッチングし、複数の不動産会社へ一度に査定依頼が行えます。
不動産一括査定を選ぶ3つの基準とオススメの使い方
筆者が考える不動産一括査定のオススメランキングをお伝えします。
不動産一括査定も様々ありますが、やはり家やマンション、土地は高額になりますので、より得意としている会社を見つけたいですよね。
サイトを選ぶ基準としては下記3つ。
不動産一括査定を選ぶときの3つの基準
- 大手不動産会社に最低でも1社は査定が行えること
- 中堅や地域密着の不動産会社にも査定が行えること
- 不動産一括査定の運営会社がしっかりしていること
ポイントは、大手から地域密着の不動産会社まで幅広く依頼をすること。
大手は取引実績が豊富な分、やっぱり売却力があります。
ただし、お客さんをたくさん抱えているため、仕事のやり方がマニュアル通りといった感じ。
逆に中堅や中小・地域密着の不動産会社は社長自らが対応してくれたりします。
不動産一括査定を1つだけ使っても、大手不動産会社が見つからなかったり、逆に大手のみしか依頼できない場合が多々あります。
筆者としては、不動産は高額商品になるので、時間が掛かっても複数の不動産一括査定を使って、大手、中堅、地域密着の不動産会社それぞれに依頼することをオススメしています。
【結論】不動産一括査定のかしこい使い方
東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・京都・奈良の方は3サイトを併用する県庁所在地などの人口が多い都市は2サイトを併用する
地方や田舎などの人口が少ない市町村は3サイトを併用する
収益・投資用物件に強い会社が多数見つかる3サイトを併用する
対策3.瑕疵担保保険を付保する売れない
家を売るには、瑕疵担保保険を付保することをオススメします。
- 瑕疵担保保険とは、売却後に瑕疵(カシ)が発見されたとき、その修繕費用を保険金でカバーできる保険
- 瑕疵とはキズのことですが、例えば雨漏り等の通常有すべき品質を欠くこと
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会が、2017年11月に不動産の日アンケート 2017年3月に公表している「土地・住宅に関する消費者アンケート調査」をご紹介します。
アンケートの中では、瑕疵担保保険加入時の売却の効果について調査を行っています。
その調査結果は以下の通り。
調査結果によると、瑕疵担保保険加入をすると「買い手が早く見つかった」が47.1%、「自宅の売却が希望価格で売れた」が43.5%です。
瑕疵担保保険を付保すると、早く高く売却できるということがわかります。
築20年超の木造住宅または築25年超のマンションは、そのまま売っても買主が住宅ローン控除を利用できません。
住宅ローン控除とは返済期間が10年以上のローンを組んで住宅を購入した際、自分が住むことになった年から一定の期間に渡り、所定の額が所得税から控除される税金特例です。
しかしながら、築20年超の木造住宅または築25年超のマンションであっても、瑕疵担保保険が付保されていると買主が住宅ローン控除を利用できるようになります。
住宅ローン控除を利用できないのは、物件が売却しにくくなる原因の一つ。
瑕疵担保保険は瑕疵発見時の修繕保証をするだけでなく、住宅ローン控除を利用できるというメリットまで生むため、グッと売却しやすくなるのです。
下手な対策をするよりは、瑕疵担保保険は一番現実的でまともな対策ですので、ぜひ検討してみてください。
対策4.設備を修繕して売る
売れない家は、設備を修繕して売るのも効果的な対策です。
家は、設備に不具合が多いと売却しにくくなります。
住宅の設備の修繕費用は、5万円程度かけると色々なものが修繕可能です。
浴室乾燥や食洗機、電子レンジ、インターフォン等の備付の設備が壊れている場合には、修繕してから売却するようにしましょう。
対策5.売出価格を見直す
売出価格を見直すのも対策の一つです。既に3ヶ月以上経過して売れない場合には、価格は下げるようにしてください。
3ヶ月以上経っても売れない場合は、価格に原因があることがほとんどです。
マンションが3ヶ月以上売れない場合は、価格以外にも不動産会社に原因がある可能性もあります。
戸建てなら、真っ先に価格を疑うようにしてください。
戸建ては2割くらい下げないと売れない可能性もありますので、もう一度査定を取るなどして、価格をしっかり調べた上で値引きするようにしましょう。
まとめ
「家が売れない理由と対策」について解説してきました。家が売れない理由は、
- 「価格が高い」
- 「不動産会社が両手仲介を狙っている」
- 「物件に問題が多過ぎる」
の3つです。対策としては、
- 「地元の不動産会社に切り替える」
- 「一般媒介に切り替える」
- 「瑕疵担保保険を付保する」
- 「設備を修繕して売る」
- 「価格を見直す」
の5つがあります。自分の物件の状況に合わせて必要な対策を施してください。
特徴 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
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他業者への依頼 | 〇 | × | × |
自分で買主を見つける | 〇 | 〇 | × |